ローンに関するコラム

求職者支援制度を知らないと損!? 条件や仕組みを解説

「会社を退職したけど失業手当が出ない」
「就職したいけど専門的な知識を学ぶお金がない」
失業手当は、雇用保険に加入していなければ受給することができません。
そのため、前職で雇用保険に加入する環境がなかった場合には、失業手当が支給されるこ
とはありません。
失業しても社会経験も豊富で専門的な技術を持っている方であればすぐに再就職を見つけ
ることも可能です。しかし、社会経験も浅く専門的な技術を持っていない場合、再就職を
する際にかなり困難になってしまいます。
このように厳しい状況でも「求職者支援制度」を利用することで、「就職したい」という
強い意志があればこの制度を受けることが可能となります。
今回は、この求職者支援制度を受けるための条件や仕組みについてご紹介します。

求職者支援制度とは?

求職者支援制度とは、失業した方を対象とした公的な支援制度です。
失業する前に勤めていた会社で雇用保険に加入しておらず、失業したにも関わらず「失業
手当」を受給することができない方が、毎月の給付金や職業訓練を無料で受けることができます。
この制度は失業手当を受けることができない方が、早期に就職できるようにするための支援制度なため、 生活のための資金を給付するためのものではありません。
この制度を利用することで、就職をするためのスキルを身につけるための学校に通う資金
や時間がない方でも、給付金を受けながら職業訓練を行うことができるため、安心して再
就職に向けてチャレンジすることが可能になります。

職業訓練には2つのコースがある

職業訓練には大きく分けて下記のように2つのコースがあります。

基礎コース 社会人としての基礎的な知識を学び、 短時間で習得することが可能な技術を習得するための訓練
実践コース 特定の就職を目指し、専門的な知識や技術を習得するための訓練

職業訓練の期間は、基礎コースの場合は「2~4ヵ月」、実践コースの場合は「3~6ヵ月」とコースによって訓練期間が異なっています。

それぞれのコースの内容についてご紹介します。

「基礎コース」の訓練内容とは

基礎コースでは、まず初めの1ヶ月間で「職業能力開発講習」という訓練を受けます。
職業能力開発講習では、職業スキルとは別に下記の4つの事について学びます。

ビジネステクニック

仕事に対する心構えや対応などといったビジネスマナーや、 社会保険制度についてなど社
会人として必要な知識や 技術を学びます。

ビジネスヒューマン

グループワークを通して、話し方や聞き方などコミュニケーションに必要なスキルを学びます。

職業活動計画

面接で気を付けるポイントや履歴書の書き方など就職活動に必要なスキルについて学びま
す。

職業生活設計

今までの職業経験などを振返り、自分自身の強みや関心を確認し今後どのような職業に就きたいかという具体的な内容について設計します。
職業能力開発講習を通して、将来のビジョンを明確にして 自分自身が納得できる就職を目
指し訓練を行っていきます。

「実践コース」の訓練内容とは

実践コースは特定分野の就職に就くことを目的としているため、下記のように色々な訓練コースの分野が設定されています。

各訓練コース 主な就職例
IT分野 ・WEB系ソフトウェア開発技術者

・システム管理者
・ネットワーク技術者

営業・販売・事務分野 ・総務事務員
・貿易事務員
・不動産営業員
医療事務分野 ・医療事務員
・調剤薬局事務員
・歯科助手
介護福祉分野 ・施設、訪問介護員
・介護助手
・保育関係の業務
農業分野 ・農耕作業員
・養畜作業員
・植木職
林業分野 ・伐木、造材、集材作業員
旅行・観光分野 ・旅行会社カウンター係
・旅館、ホテル接客係
・観光ガイド
警備・保安分野 ・施設警備員
・道路交通誘導員
・雑踏警備員
クリエート(企画・創作)分野 ・広告ディレクター
・イベントプランナー
デザイン分野 ・グラフィックデザイナー
・WEBデザイナー
・フラワーデザイナー
輸送サービス分野 ・甲板員

・フォークリフト運転作業員
・自動車整備工

エコ分野 ・労働安全衛生技術者
・環境衛生技術者
・太陽光発電装置据付作業員
調理分野 ・調理人

・パン、菓子製造工

電気関連分野 ・電気機械組立工
・電気機械器具修理工
・電気配線工事作業員
機械関連分野 ・汎用機械工作機械工
・数値制御金属工作機械工
・CADオペレーター(機械製図)
金属関連分野 ・金属プレス工
・鉄工
・金属溶接、溶断工
建設関連分野 ・インテリアコーディネーター
・CADオペレーター(建築製図)
・建設用機械車両運転工
理容・美容関連分野 ・エステティシャン
・ネイリスト
・着付け師

上記以外にも様々な分野があるため詳しくは確認が必要ですが、上記のような専門的なス
キルを身につけるために、厚生労働大臣が認定した専門学校などで訓練を行います。

求職者支援制度の条件や申込方法について

求職者支援制度を受けることによって、 就職に向けての職業訓練を原則無料で受講することができ、しかも 訓練期間中は月10万円の「職業訓練受講給付金」を受給することが可
能です。
求職者支援制度は、 失業者を対象とした公的な支援制度ですが、 失業者であれば誰でもこの制度を利用することができるわけではありません。

求職者支援制度を受けるための条件

求職者支援制度を受けるためには4つの条件を全て満たしている必要があります。

  • ハローワークに求職の申し込みをしている
  • 雇用保険被保険者や受給者ではない
  • 労働への意欲があり、労働能力がある
  • 職業訓練などの支援が必要だとハローワークが認めている

職業訓練受講給付金を受給するための条件

更に、訓練期間中に毎月10万円の支給がある職業訓練受講給付金を受給するためには次の7つの条件を全て満たしている必要があります。

  • 本人の収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月25万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在の住居以外に土地や建物を所有していない
  • 全ての訓練実施日に出席している
  • 同世帯の中に現在この給付金を受給している人がいない
  • 過去3年以内に、不正行為により特定の給付金の支給を受けたことがない

求職者支援制度は、安定した就職を目指して訓練するための制度なため、やむを得ない理由以外で一度でも訓練を欠席したり、 遅刻や早退をした場合は、給付金がストップするこ
とになります。この「やむを得ない理由」とは主に下記のような内容の事を言います。

  • 本人が病気や事故で出席できない状態である
  • 親族の看護のため
  • 求人者との面接やハローワークが支持したセミナーなどへの受講が重なった
  • 公共機関の遅延や天災などでやむを得ない場合

やむを得ない理由以外での欠席や遅刻を繰り返していると、訓練期間の初日からの給付金の返還を請求されることになってしまう場合もあるので十分に注意が必要です。

求職者支援制度の申込み方法について

求職者支援制度の申し込み手続きは原則として お住まいである地域のハローワークで行い
ます。
職業訓練のみを受講する場合と、「職業訓練+職業訓練受講給付金」を申込む場合とでは
申込みの流れが異なっています。

次に、訓練受講のみと「職業訓練+職業訓練受講給付金」を申込む手続きの流れについて
ご紹介します。

訓練受講のみの手続きの流れ

  1. ハローワークに求職の申込み
  2. 訓練コースの選択
  3. 訓練の受講申込み
  4. 訓練実施機関の面接
  5. 就職支援計画の作成
  6. 訓練スタート

訓練コースは自身で選択することが可能ですが、 ハローワークが訓練を必要ではないと判
断した場合は、希望した訓練の申し込みができない場合もあります。
訓練の必要性が認められた場合は訓練実施機関の面接や試験を受け、訓練を受けることは
可能かどうかを決定されます。
尚、訓練の受講中から訓練終了後の3ヶ月間は、原則として月に一回ハローワークに行き
定期的な職業相談を受ける必要があります。

「職業訓練+職業訓練受講給付金」を申込む場合の手続きの流れ

ハローワークに求職の申込み
※職業訓練受講給付金の申込み

訓練コースの選択
※必要書類を受取る

訓練の受講申込み
※事前審査の申込み・必要書類の提出

訓練実施機関の面接

就職支援計画の作成
※事前審査の結果発表

訓練スタート
※指定来所日に支給申請を行う

職業訓練受講給付金の事前審査の申込みの際には下記のような書類の提出が必要となります。

本人確認書類(いづれか1つ)

  • 運転免許証
  • 顔写真付きの住民基本台帳カード
  • 写真が貼付されている官公庁発行の書類
  • パスポート
  • 在留カード(多国籍の場合)
  • 特別永住者証明書(多国籍の場合)

ハローワークから交付された書類

  • 受講申込書
  • 受講申込、事前審査書(安定所提出用)
  • 職業訓練受講給付金要件申告書
  • 職業訓練受講給付金通所届

所定の添付書類

  • 直近3カ月以内に交付された住民票謄本の写し、又は住民票記載事項証明書
  • 事前審査申請日の前月分の本人収入を証明する書類(給与明細書など)
  • 事前審査申請日の前年による申請者本人と全ての同居配偶者等の収入を証明する書
    類(源泉徴収票など)
  • 申請者本人、又は同居配偶者等が保有する事前審査申請日の残高が50万円以上であ
    ることを証明する預貯金通帳か残高証明
  • 給付金の振込先となる通帳など

求職者支援制度を受けた多くの方が就職している

厚生労働省が 発表している資料によると、制度が開始された平成23年から平成28年までに約 34万人の方が求職者支援制度を利用されています。

表 求職者支援訓練受講者数

しかも、「基礎コース」、「実践コース」共に求職者支援訓練の修了者による就職率が、
平成27年、平成28年と2年連続で 5割を超えています。
「実践コース」に関しては6割を超える確率で就職が決定しています。

失業をして失業手当を受けることが出来ない方は、この求職者支援制度を利用して専門的
な知識や技術をしっかりと学び、再就職へチャレンジすることをお勧めします。

求職者支援資金融資を受けることも可能

職業訓練受講給付金を受給しても、その給付金だけでは生活費が足りないといった場合には、労働金庫の融資制度と併用することが可能です。
この融資制度のことを「求職者支援資金融資」と言い、貸付のスペックは下記のようになります。

求職者支援資金融資のスペック

貸付上限額 ・同居配偶者等あり:月10万円
・上記以外の場合(独身など):月5万円
金利 年3.0%
保証人 不要
約定返済日 毎月末日
貸付方法 ろうきん口座(口座が必要)

この制度を受けるためには、下記の2つの条件を満たしていなければ利用することはでき
ません。

  • 職業訓練受講給付金の支給が決定している方
  • ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

この2つの条件を満たしていれば、「貸付金額×受講予定訓練月数分」の融資を一括で振込
んでもらうことが可能です。しかも、訓練の終了月の3ヶ月後の末日までは利息のみの返済で良いため生活への負担も少なく助かります。

ただし、こちらの融資制度も「就労支援の拒否」や「不正受給」が発覚した場合には、一
括返済が求められ、状況によっては詐欺罪で処罰されるケースもあるため注意が必要です

まとめ 求職者支援制度について

求職者支援制度は、 失業した際に「失業手当」が受給することができない方が受けることができる公的な支援制度です。この制度を利用することによって、社会人としてのスキルや、再就職するための専門的なスキルなどを学ぶ職業訓練を無料で受けることが可能となります。

また、 一定の条件を満たすことで毎月10万円の職業訓練受講給付金を受給することも可能
なため、失業による生活資金への不安を軽減することができ、職業訓練に集中することが
できます。

それでも生活資金が足りない場合は 、労働金庫が提供している求職者支援資金融資も併用
することが可能なため安心です。求職者支援制度は毎年多くの方が利用し、就職へと結びつけている実績もあるため失業でお困りの方は、ぜひ活用することをおすすめします。

ABOUT ME
監修:山内 貴文
株式会社山内FP事務所代表。北海道大学経済学部卒。日本FP協会上級資格・FPSB国際認定資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格) 金融、貯蓄、ローンなど人生のお金に関わる相談になんでも乗ります。