ローンに関するコラム

住宅支援給付とは何?条件や申込み方法について

「住宅支援給付」といった制度をご存知ですか?
住宅支援給付は、離職などで住宅を失ってしまった方や、住宅を失いそうな方が受けるこ
とができる制度になります。給付が決定となると、原則3ヶ月間は公的に家賃支援を行ってもらうことが可能です。この制度はあまり知られていない制度ですが、毎年数千人を超える方が利用されています。
「住宅支援給付は離職したら誰でも受けることができるの?」
もちろん公的な制度なため、利用するためには色々な条件をクリアして、慎重な審査が行
われたうえで支援に値するかどうかが決定されます。今回は、住宅支援給付の条件や申込み方法についてご紹介します。

住宅支援給付とは?

住宅支援給付とは、住宅を失う、又は失うおそれのある離職者に対する賃貸住宅の家賃補
助のための給付制度です。
厚生労働省や行政の広報があまりいきわたっていないため、あまり知られていませんが日
本で初の公的な家賃補助制度になります。
平成27年9月に開催された生活困窮者自立支援制度「全国担当者会議」の資料によると、
下記のように新規による支給決定件数は毎年減少傾向にありますが、毎年数千件を超える
世帯の方が、住宅支援給付を利用されています。

年度 支給決定件数
平成23年 24,161件
平成24年 19,382件
平成25年 10,817件
平成26年 8,758件

家賃が支払えずに仕事や住居を失ってしまうと、再び住居を見つける際に「保証金」や「
礼金」などと余計な資金も必要となり、再び住居を確保することが困難になるケースが多
いです。
このような状況を避けるためにも、離職が理由で住宅を失ってしまう前にお住まいの地域
の役所に相談することをおすすめします。
住宅支援給付を利用すれば、原則として3ヶ月間は各自治体で定められた金額の家賃補助
を受けることが可能です。
例え一定期間の受給制度ですが、利用するかしないかでは大きな差がでてきます。

住宅支援給付の条件について

まず初めに、住宅支援給付を利用するための条件についてご紹介します。
住宅支援給付制度を利用するためには下記の9つの条件を全て満たしていなければいけま
せん。

①離職後2年以内であること
②年齢が65歳未満であること
③離職前に世帯主として自ら働き生計を維持していたこと(離職前は世帯主では無かった
けど、離婚などが理由で現在、生計維持者となっている方も含)
④就労に対しての能力や就労に対しての意欲があり、ハローワークなどで求職申込みを行
う、又は現在行っている方
⑤現在お住まいの住宅を喪失、又は喪失するおそれがある方
⑥申請を行った月の申請者、及び申請者と同居する親族の収入合計金額が下記の金額であ
ること

区分 月合計収入
単身世帯 82,000円に1ヶ月分の家賃(上限は住宅支
援給付基準額とする)を加算した金額未満
2人世帯 172,000円以下
3人以上世帯 172,000円に1ヶ月分の家賃(上限は住宅
支援給付基準額とする)を加算した金額未

⑦申請者、及び申請者と同居する親族の預貯金の合計金額が下記の金額であること

区分 預貯金合計額
単身世帯 50万円以下
複数世帯  100万円以下

⑧雇用対策による給付(求職者支援制度、職業訓練受講給付金など)及び、地方自治体等
が行っている住居等困窮離職者に対する類似の給付や貸付を、申請者及び申請者と同居す
る親族が受けていないこと

⑨申請者及び申請者と同居する親族が暴力団員でないこと

このように、住宅支援給付を受けるためには様々な条件をクリアしなければいけません。
現在は十分な収入があり心配ない方でも、今後のご自身や身の回りの方が離職された時、
生活に困った場合には必ず役に立つ公的な制度のため知っておくと安心です。

次に、住宅支援給付の支給額や申込みの方法についてご紹介します。

住宅支援給付の支給額や申込方法

住宅支援給付の支給額は、「単身世帯」「2人世帯」「3人以上世帯」の各世帯人数によっ
て支給額が異なってきます。
各世帯人数によって支給される金額について見てみましょう。

<単身世帯>

  • 月収84,000円以下の方は家賃額
    月収84,000円を超える方は下記の計算によって算出された金額になります。

計算式:※家賃額-(月収-84,000円)=住宅支援給付支給額

<2人世帯>
・申請者、及び申請者と同居する親族の収入合計額が、月収172,000以下の方は※家賃額
が住宅支援給付支給額になります。

<3人以上世帯>
・申請者、及び申請者と同居する親族の収入合計額が、月収172,000以下の方は※家賃額
が住宅支援給付支給額になります。
・申請者、及び申請者と同居する親族の収入合計額が、月収172,000を超える方は、下記
の計算によって算出された金額になります。
計算式:※家賃額-(月収-172,000円)=住宅支援給付支給額
※家賃額は、住宅支援給付基準額を上限として決めらます。
そして、この住宅支援給付基準額は各地方自治体によって異なっているため、住宅支援給
付基準額はお住まいの役所にある住宅支援給付事業担当窓口に問い合わせて確認が必要で
す。
次に、住宅を喪失した場合と住宅を喪失するおそれがある場合、それぞれの申請~支給決
定となるまでの主な流れについてご紹介します。

住宅を喪失した場合の申込み方法について

  1. 申請
  2. 求職申込み
  3. 入居住宅の確保
  4. 審査
  5. 賃貸借契約の締結
  6. 住宅入居
  7. 支給決定

次に申請~支給決定に至るまでの工程を順に追って説明していきます。

①申請

地域の役所にある申請受付窓口で申請書をもらい必要事項を記入します。そして、申込書
とは別に下記のような書類も一緒に提出する必要があります。

提出書類 書類内容
本人確認書類(いずれか 1つの写し) ・運転免許証
・住民基本台帳カード
・パスポート
・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者保健福祉手帳
・健康保険証
・住民票
・在留カード(外国人の方)
・特別永住者証明書(外国人の方)
・戸籍標本
離職関係書類 離職後、2年以内であることが証明できる書類の写し(離職票など)
収入関係書類 申請者及び同世帯に収入がある方の、収入
金額を確認できる書類の写し(給与明細書
など)
預貯金関係書類 申請者及び同世帯に収入がある方の、金融機関での全通帳の写し

上記の書類以外にも、申請者本人の写真や印鑑が必要となります。
申込みが完了すれば、申込書の写しと、「入居予定住宅に関する状況通知書」と「求職申
込み・ 雇用施策利用状況確認票」の2つの用紙が配布されます。

②求職申込み

ハローワークで求職の申込みを行い、「求職申込み・ 雇用施策利用状況確認票」 を記入
します。
記入が完了すれば、求職受付票の写しを添付して、確認票を福祉保健センターへ提出しま
す 。

③入居住宅の確保

不動産業者に申請書の写しを提示し、 住宅支援給付の支給決定などを条件に、入居が可能
な住宅をまずは確保します。
入居可能な住宅の確保が完了したら、不動産業者から「入居予定住宅に関する状況通知書
」への記載や交付してもらい、福祉保健センターに提出します。

④審査

審査通過となれば、「住宅支援給付支給対象者証明書」が交付されます。
この時に、「住宅確保報告書」と「常用就職届」の用紙が配布されます。

⑤賃貸借契約の締結

不動産業に「住宅支援給付支給対象者証明書」を提示して、予定していた賃貸借契約を締
結してもらいます。

⑥住宅入居

住宅入居後7日以内に、賃貸借契約書の写しと、新住所の住民票の写しを添付して「住宅
確保報告書」を福祉保健センターに提出します。

⑦支給決定

「住宅支援給付支給決定通知書」が交付されるので、その写しを不動産業者に提出します
。次に、住宅を喪失するおそれがある場合についてご紹介します。

住宅を喪失するおそれがある場合の申込み方法について

  1. 申請
  2. 求職申込み
  3. 不動産業者との調整
  4. 審査・支給決定

次に申請~支給決定に至るまでの工程を順に追って説明していきます。

①申請

提出書類を添えて、申込書を提出します。
申込みが完了すれば、申込書の写しと、「入居住宅に関する状況通知書」と「求職申込み
・ 雇用施策利用状況確認票」の2つの用紙が配布されます。

②求職申込み

ハローワークで求職の申込みを行い、「求職申込み・ 雇用施策利用状況確認票」 を記入
します。記入が完了すれば、求職受付票の写しを添付して、確認票を福祉保健センターへ提出します 。

③不動産業者との調整

不動産業者に対して申請書の写しを提示します。
そして、「入居住宅に関する状況通知書」への記載や交付してもらい、賃貸借契約書の写
しを添付して福祉保健センターに提出します。

④審査・支給決定

審査通過となれば、「住宅支援給付支給対象者証明書」が交付されます。

この時に、「住宅支援給付支給決定通知書」が交付されるので、その写しを不動産業者に
提出します。
上記の申請~支給決定に至るまでの工程や流れは、各自治体によって異なる場合があるた
め必ず事前に確認するようにしましょう。
住宅支援給付の手続きが完了して、支給が決定となれば原則として3ヶ月支援を受けるこ
とが可能となります。
また、離職をしてから誠実に就職活動を行っている方など一定の条件を満たす場合は最長
9カ月まで支援を延長してもらうことも可能です。この「一定条件」は各自治体に問い合わせて、確認する必要があります。

支給方法について

各自治体が申請者の指定口座に直接給付金を振込む仕組みとなります。
振込みのタイミングは、翌月分の前払いではなく原則として当月分の給付金額を当月末日
までに振込むというかたちになります。

住宅支援給付受給中に必ず行うこと

住宅支援給付は受給が決定したから、3ヶ月間は何もしなくても給付が受けられるといっ
たわけではありません。
支給期間中はハローワークの利用や、住宅手当支援員の助言など常用試験に向けて就職活
動を行わなければいけません。そのような就職活動や不正が確認された場合は、支給の停止や不正に受給した金額の返還を請求されることになります。
そのような状況にならないためにも、住宅支援給付の受給中に必ず行わなければいけない
ことは下記のようになります。

①毎月2回以上、ハローワークで職業相談を受ける
②原則週1回以上、求人先への応募を行う
③毎月4回以上、住宅手当支援員による面接等の支援を受ける
④「日常・社会生活支援」か「生活保護受給者等就労自立促進事業 」のどちらかの支援を
利用する

⑤ハローワークで求職者支援制度の職業訓練の受講申込が可能と判断された場合は、受講
しなければいけない
⑥支給決定後、常用就職した場合は「常用就職届」を福祉保健センターへ提出し、毎月就
労収入の報告をする

生活福祉資金貸付制度と併用も可能

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や高齢者の方の生活を経済的にサポートし、在宅福
祉及び社会参加への促進を行うことを目的とした公的な貸付制度です。
この制度を利用することで「低金利」又は「金利ゼロ」で融資を受けることが可能になり
ます。
「住宅支援給付制度」を利用している方でも「生活福祉資金貸付制度」を受けることも可
能なため、この2つの制度を併用することで、就労への復帰や新居にかかる費用の負担を
軽減することが可能になります。

まとめ 住宅支援給付について

住宅支援給付は、住宅を喪失する、又は喪失するおそれのある離職者に対する賃貸住宅の
家賃補助のための給付制度です。この制度を利用することで原則3ヶ月間(最長9カ月)は公的な給付金を受給することが可能です。

公に広告をしていないためあまり知られていないですが、平成26年には年間で8,000人を
超える方がこの制度を利用しています。
住宅支援給付は「生活福祉資金貸付制度」とも併用することが可能なので、住宅が喪失し
て新たに賃貸住宅を借りる際に必要な敷金や礼金などが必要となった場合でも安心です。
離職により経済的に厳しくなり、住居を失いそうだと不安を感じる場合は、まずお近くの
自治体に相談することをおすすめします。

ABOUT ME
監修:山内 貴文
株式会社山内FP事務所代表。北海道大学経済学部卒。日本FP協会上級資格・FPSB国際認定資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格) 金融、貯蓄、ローンなど人生のお金に関わる相談になんでも乗ります。