ローンに関するコラム

年金担保貸付制度は誰でも申込める?利用条件や特徴について

年金だけで生計をたてている方でも、年金担保貸付制度を利用することで融資を受けることが可能です。年金担保貸付制度は、国から唯一「年金」を担保として融資を受けることが認められている公的な貸付制度となります。
この年金担保貸付を利用することで、低金利で無理のない返済計画で融資を受けることが
可能となります。今回は、年金担保貸付制度の利用条件や特徴などについてご紹介します。

年金担保貸付制度とは?

年金担保貸付とは、高齢者が医療費や住宅のリフォームなどで一時的にまとまったお金が必要となった時に、それにかかる資金を低金利で借りることができる公的な貸付制度です。

民間業者では年金を担保として融資を提供することは法律で厳しく規制されているため、「国民年金」、「厚生年金保険」または、「労働者災害補償保険」などの年金を担保としてお金を借りることができるのは、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が提供していている年金担保貸付のみとなります。

平成22年に制度の廃止が決定

この年金担保貸付制度は、平成22年12月に廃止されることが決定されました。
しかし、実際のところはまだ廃止されてはおらず、今でも貸し付けを継続して行っていま
す。
平成26年にも融資限度額や、上限返済額の変更などを行い、円滑な廃止に向けて制度の改正を行っています。
年金担保貸付制度は低金利にもかかわらず、入院費用や介護サービスの利用料といったような医療や福祉関係だけではなく、冠婚葬祭にかかる費用や、家賃や光熱費の支払いといった幅広い費用に利用することが可能なため、年金受給者にとって非常に頼もしい制度となります。
しかし、年金担保貸付制度は誰でも受けることができる制度ではありません。次に、年金担保貸付制度を利用するための条件や特徴についてご紹介します。

利用するための条件や特徴について

年金担保貸付を利用するためには下記のような条件を満たしていなければいけません。

融資のための条件について

  • 国民年金・厚生年金保険年金証書
  • 国民年金証書
  • 厚生年金保険年金証書
  • 船員保険年金証書
  • 労働者災害補償保険年金証書

年金担保貸付は、上記の年金証書を持っていて、年金を受給している方であれば誰でも申
し込む事が可能です。
次に、年金担保貸付制度の内容についてご紹介します。

融資限度額について

下記のような条件の中で、1万円単位で必要とする融資希望額が限度額となります。

  • 10万円~200万円まで(生活必需物品の購入の場合は10万円~80万円まで)
  • 受給している年金額の0.8倍以内
  • 1回あたりの定額返済額の15倍以内

融資を受けるためには、資金の使い道などが分かる見積書や資料を提出しなければいけま
せん。
そして、提出した「必要額の合計額」が「借入申込額」に満たない場合、融資金は「必要
額の合計額」までの融資となります。

利率や返済について

年金担保貸付の利率は下記のようになります。

年金の種類 年率
年金担保融資 1.6%
労災年金担保融資 0.9%

※平成26年9月現在

偶数月に支給される年金の中で、定額返済額を自分が指定して返済することが可能です。ただし、定額返済額は下記の条件を満たした金額でなければいけません。

定額返済額の上限 1回あたりの年金額の3分の1
定額返済額の下限 1万円(返済単位は1万円)

基本的に2年6ヵ月以内で年金担保貸付の返済を完了するかたちとなります。
年金担保貸付を利用している返済期間は、年金支給機関から支給される年金の全額を独立
行政法人福祉医療機構が直接受取り、その年金の中から定額返済額分を差し引き、残りの
年金を「返済剰余金」として受給者の指定口座に振込むという流れになります。
そのため、返済忘れといった心配は一切ありません。

年金担保貸付手続き後の返済の開始日については、融資月の翌々月以降の偶数月から返済
がスタートとなります。
例)

4月融資の場合→6月から返済開始
5月融資の場合→8月から返済開始

年金担保貸付は繰り上げ返済も可能です。
何か特別な理由があり予定していた返済完了日よりも繰り上げて一括返済したい場合でも
、毎月20日であれば受付けが可能となります。
ただし、繰り上げ返済をして完済したからといって、追加融資が可能となるわけではあり
ません。
契約時に予定していた完済予定日が過ぎるまで融資を受けることができません。また、
返済期間中の追加融資も不可となっています。

連帯保証人が必要

年金担保貸付は、申し込み時に連帯保証人が必要となります。
連帯保証人とは、債務者が借金の返済を延滞したり、返済することができなくなった場合
、債権者から返済を請求された場合には、債務者の代わりに借金を弁済しなくてはいけない人のことを言います。

なかなか人に連帯保証人を頼みにくい場合でも、信用保証機関による信用保証制度を利用
することも可能なので助かります。しかし、その場合は別途保証料が必要となってきます

年金担保融資制度は平成22年に廃止することが議会で決定されましたが、まだ実際のとこ
ろは廃止されておらず、融資を行っているのが現状です。
ただし、廃止に向けた取り組みの一環として、この先も年金担保融資制度の廃止に向けて
制度変更が行われていくことが予想されます。

次に年金担保貸付制度を申し込むための流れについてご紹介します。

年金担保貸付制度を申し込むための流れ

申し込みの流れは下記のようになります。

  1. 取扱い金融機関に相談
  2. 申し込み手続き
  3. 審査
  4. 融資決定
  5. 融資スタート

年金担保貸付制の申し込み手続きをスタートしてから融資を受取るまでに、4~5週間とい
う期間が必要となります。

申し込み時に必要な書類

申し込み時に必要な書類は下記のようになります。

必要提出書類 ・年金担保申込書
・年金証書
・実印、及び印鑑登録証明書
・資金使途の確認資料
・保証人に関係する書類
・本人確認書類
本人確認書類(いずれか1つ) ・運転免許証(運転経歴証明書を含む)
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
・外国人登録証明書、在留カード、特別永住者証明書
・個人番号カード(マイナンバーカード)
・住民基本台帳カード
・パスポート
現在の年金支給額を証明する書類(いずれか1つ) <国民年金・厚生年金保険>
・年金振込通知書
・年金額改定通知書
・年金決定通知書
・年金決定通知書、支給額変更通知書
・国民年金(基礎年金)の支払いに関する通知書
・年金送金通知書
・年金支払通知書<労働者災害補償保険>
・年金等振込通知書または年金等送金通知書
・支給決定通知書
・変更決定通知書
・スライド等による変更決定通知書

 

定額返済額の変更も可能

融資の審査に通過して、融資がスタートした後、何らかのトラブルで生活が厳しくなった
場合、貸付条件の変更申請の手続きを行うと、下記のような内容で定額返済額の変更が可
能となります。

  • 返済期間を3年に延長が可能
  • 千円単位で定額返済額を変更が可能

一方、貸付条件の変更申請を行うことで、「繰り上げ返済を行うことができなくなる」といったデメリットもありますが、メリットと比べればそれほど大きなリスクではありません。

独立行政法人福祉医療機構の調査によると、下記のように貸付条件の変更実施による件数デ
ータが公表されています。

<貸付条件変更の実施状況>

平成24年 平成23年 平成22年
年金担保貸付 1,688件 2,142件 3,460件
労災年金担保貸付 21件 37件 96件
合計 1,709件 2,179件 3,556件

年々件数は減少傾向にはありますが、平成24年でも貸付条件の変更実施が1,500件以上あることは事実です。

貸付条件の変更は1回のみと制限されているため、申し込み時の定額返済額の決定は、完済までの返済計画を立て、無理のない金額で設定することをおすすめします。

年金担保制度の返済は避ける事ができない

どうしても借金を返済することができない場合でも、自己破産をすることで財産と引き換
えに借金を免責することが可能ですが、年金担保制度の場合は、自己破産をしても免責に
なることはありません。

自己破産をしても年金は財産処分の対象外

自己破産を行う場合、債務者の財産は「破産財団」「自由財産」「新得財産」の3つの財
産に分類されます。
この3つの財産にそれぞれあてはまるモノは下記のような内容になります。

財産の種類 内容
破産財団 ・預貯金
・住宅
※20万円以上の価値があるモノ
自由財産 ・生活に必要な家電や家具(テレビ・冷蔵
庫・洗濯機など)
・仕事に必要な器具(職人道具、パソコン
など)
新得財産 ・給与
・年金
・未受給である退職金の一部

 

この3つの財産の中で自己破産によって処分の対象となる財産は「破産財団」のみとなり
ます。年金は「新得財産」に含まれるため処分の対象とはなりません。

自己破産後も「年金受給権」は失われることなく、毎月指定口座に年金は振り込まれ、自
動的に年金担保融資の返済額が差し引かれるしくみとなっているため、年金担保制度の場
合は借金が免責になるといったことはありません。

まとめ 年金担保制度の活用を検討してみては

年金受給者にとって年金担保制度は金利も低く、しかも返済額も自分で決めることができ
るため、無理のない返済計画をたてることが可能となります。

保証人もわざわざ探す必要もなく、保証会社などに依頼することも可能なので、身内に余
計な心配をかけることもなく借り入れすることができるので安心です。限度額が200万円までと十分な限度額設定となっているため様々な用途で活用することが
できます。

どうしてもお金が必要で、なかなか身内に相談しにくい場合は年金担保制度の活用を検討
してみては如何でしょうか。

ABOUT ME
監修:山内 貴文
株式会社山内FP事務所代表。北海道大学経済学部卒。日本FP協会上級資格・FPSB国際認定資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格) 金融、貯蓄、ローンなど人生のお金に関わる相談になんでも乗ります。