ローンに関するコラム

カードローンの利用は住宅ローンの審査に影響する?

今回は、キャッシングの利用が住宅ローンに与える影響について、考えてみたいと思います。

一生のうちで最も高い買い物、と言われる住宅。安くても2,000万円~3,000万円程度、高くなれば5,000万円以上もの価格になるケースもあります。

そして、この住宅購入の際に、ついてまわるのが「住宅ローン」の問題です。殆どの場合、住宅の検討と、住宅ローンの審査は同時進行で行われる為、せっかく住宅の設計などが前に進んでいても、土壇場で「ローンの審査が通らない」というケースもあります。

住宅ローンを申し込んだ際、当然審査が行われます。収入面などの問題もなく、他にローンの残債がない場合は、審査時には何も心配する必要はないでしょう。しかし、カードローンを現在利用している、又は過去にカードローンを利用していた、などという場合は、それが審査にどのような影響を与えるのか?という点については、事前に調べておく必要があります。

今回は、住宅の購入時「いざという時に住宅ローンの審査に落ちる…」という事にならないように、皆様のお役にたてる記事をお届けしたいと思います。

住宅ローンの審査項目から考えてみる

「キャッシングの利用が住宅ローンの審査にどのような影響を与えるのか?」という事を考える際、確認しておきたいポイントがあります。

それは「住宅ローンの審査項目」についてです。

つまり、住宅ローンの審査の時に、何を調べられるのか?という事をきちんと押さえておけば、より審査通過の可能性も高くなります。

住宅ローンの審査時にチェックされる事

住宅ローンは様々な銀行や金融機関が取り扱っていますが、正直なところ審査項目を公開している金融機関などはどこにもありません。したがって、実際にはどのような基準で審査をしているのか?という点は不明です。

しかし、一般的に考えて「最低限調査すべき内容」というのは、各金融機関とも同じです。

住宅ローンの審査の場合、概ね「契約者の情報」と「購入物件の情報」のふたつを確認します。

つまり前者は「返済能力について」審査され、後者は「担保価値」について審査をされる事になります。

以下に、一般的な審査項目と、調べられる内容についてまとめていますので、是非参考にして下さい。

審査項目 調べられる内容
年齢 長期ローンが支払える年齢かどうか?例えば公庫のフラット35などのローンでは、最長35年の住宅ローンとなる為、完済後の年齢は勿論確認されます。
収入 最も重要なポイントです。ここで見られるのは「返済比率」です。返済比率とは、年収のうち借金返済に充当される金額の割合の事を指します。もちろんこれら借金の返済の中には、申し込もうとしている住宅ローンのほかにも、マイカーローンや教育ローンなど、他社ローンも含みます。理想的な返済比率は年収の25%~30%程度と言われていますから、申し込もうとしている住宅ローンと年収を比較した際に、それら理想の返済比率になっているかどうかが確認されます。
他社借り入れ 先で触れたとおり、住宅ローンの審査時には返済比率が重要なポイントとなりますので、当然の事ながら他社ローン借り入れやクレジットカードの利用状況なども全てチェックされます。
勤務先・勤続年数 収入元となる勤務先の情報も勿論確認されます。勤務先の企業は安定しているか?従業員などの規模は?上場しているか否かなどが調査項目です。もちろん勤続年数は長ければ長いほど良い評価となります。
評価額 購入する住宅や土地の評価額が確認されます。ローンを組んだ際には、抵当権が付けられ、万一返済できなくなった場合には、差し押さえしたうえで、返済金額に充当するだけの価値があるかどうかが確認されます。

尚、上記の「他社借り入れ」に関する調査には、信用情報機関に登録されている情報が利用されます。

信用情報機関とは?

他社借り入れの調査の際に利用される「信用情報機関」ですが、次の機関がそれにあたります。銀行や消費者金融各社は、以下の信用情報機関に登録しており、ローン申込者の個人的な情報を調べることが可能になっています。

  • (株)日本信用情報機構(JICC)
  • (株)シー・アイ・シー(CIC)
  • 全国銀行個人信用情報センター

尚、JICCは、全国銀行個人信用情報センター、(株)シー・アイ・シーと三機関で、情報の交流を行っています。したがって、他社借り入れの状況についても、各機関で情報が共有されている、という事になります。

信用情報機関に登録されている情報

これら信用情報機関には、カードローンやクレジットカードの利用状況はもちろん、過去の債務整理などの事故履歴なども全て記録されています。少し細かくなりますが、以下にJICC(株式会社日本信用情報機構)の登録情報についてまとめています。(表を見やすくする為に、それほど重要ではない情報については割愛しています。詳しくはJICCのホームページで確認できます。)https://jicc.co.jp/vcms_lf/kaiji-DM.pdf

尚、JICCの信用情報記録開示書は二つあり、ファイルDがカードローンなどの借り入れに関する情報、ファイルMがクレジットに関する情報が登録されています。

<ファイルD 他社借り入れなどの情報>

<延滞に関する情報>
延滞、元金延滞、利息延滞など、入金予定日から3ヵ月以上経過しても返済をしていない、という情報延滞継続中

登録される情報 登録期間
<総量規制対象貸金債権>
消費者金融カードローンなど、貸金業法にあてはまる総量規制対象のローンに関する情報(契約日・借り入れ残高・出金日・返済日・次回入金予定日など)
契約期間中
<総量規制対象外貸金債権>
マイカーローンや教育ローンなど、総量規制対象外のローンに関する情報
契約期間中
<保証履行債権>
カードローンなどの返済が出来ず、代わりに保証会社が代位弁済(代わりに返済する事)を行った事をあらわす情報
契約期間中
<包括残0債権>
借り入れ限度額が設定されるカードローンなどの契約を行い、それを完済した場合、且つそのカードローン契約が解約されずに残っているかどうか、という情報
入金日から5年を超えない期間
<完済債権>
カードローンなどの借り入れを全て返済し、且つその契約を解約した情報
完済日(包括契約の場合は契約を
解約した日)より5年を超えない期間
<債務整理などに関する情報>
カードローンなどの契約先や保証会社が、強制執行や支払督促などの法的手続き等をとった情報。また任意整理など、カードローン会社に返済金額の減額等を申し入れた情報。その他、破産申立、特定調停、民事再生などの情報。
発生日から5年を超えない期間
※ 法的申立の取り下げがあった場合は、その時点までの登録。
<保証履行>
保証会社などが、代位弁済(代わりに返済する事)を行った情報
発生日から5年を超えない期間

尚、ファイルMのクレジットカードに関する情報についてですが、上記のような利用状況に加え、購入した商品名、さらにクレジットカードでキャッシングをした場合の金額や設定されている限度額も全て記録されています。

ちなみに、各信用情報機関に登録されている情報は、本人でも確認する事が可能です。手数料が必要となりますが、所定の手続きを踏むことで、どのような情報が登録されているのか開示してもらうことができます。特に過去の債務整理の情報や、借り入れの情報については、登録期間が過ぎており情報が消えている場合もあります。もし心配なら本人での開示手続きを行ってみましょう。

住宅ローンに影響を与えるローンと注意点

ここまでで、住宅ローンの審査にあたっては、少なくとも他社ローンの利用状況について、必ず調査される事がわかりました。しかし、一口で「ローン」といっても様々なローンがあります。ではどのようなローンが住宅ローンの審査に影響を及ぼすのでしょうか?

どんなローンが信用度を下げるのか?

現在多くの人が利用している「ローン」には様々な種類があります。大きく分けると「目的が限定されたローンかどうでないか」に分かれ、さらに借入先についても「銀行」「信販」「消費者金融」に分かれます。

まず、目的が限定されたローンか否かについてですが、当然利用目的が限定されていないカードローンが最もネガティブ要素の高いローンとなります。

つまり、一般的な銀行や消費者金融のカードローン、信販会社のフリーローンなどがそれにあたります。

これらを利用している場合は、信用度が下がり住宅ローンの審査通過は難しくなります。

一方で目的が決められたローン、例えば「教育ローン」「マイカーローン」「リフォームローン」等を利用している場合は、住宅ローンの審査にはさほど影響を及ぼしません。(但し、残債や返済状況などにもよります)これらのローンは、利用用途も限定されており、中にはそのローンの審査自体も厳しい審査条件がある為です。そのローンの審査が通っているという事自体、逆に信用度が上がるケースもあります。

やはり、利用用途が自由なカードローンは、それだけ利用者の「お金の管理」についての不安要素を高めてしまうのです。住宅ローンの審査担当者としては、「お金にルーズな人」という判断を下してしまい、それらのローン利用者には、決して良いイメージは持ちません。

また、それら他社ローンの借り入れ先についても、注意が必要です。信用度が高い順番からいくと、銀行→信販→消費者金融、という事になるでしょう。最近は銀行もカードローンの融資に力を入れており、過剰な融資が問題になりつつありますが、それでも消費者金融カードローンが最も審査が甘い傾向にあります。したがって、消費者金融からキャッシングをしている場合、住宅ローンの審査もNGを出すところが殆どです。

クレジットカードのキャッシング、カードローンキャッシングどちらでも影響するか

先でも触れた通り、信用情報機関への情報照会の際には、カードローンの借り入れはもちろん「クレジットカードのキャッシング」についても確認をされます。もちろんクレジットカードでのキャッシングについても、ネガティブ要素となりますので、住宅ローンの審査に影響を与えます。

ただ、ここで注意しないといけないのは、借り入れ残高はもちろん、各々の「借り入れ限度枠」についても確認される、という点です。

つまり、カードローンの契約をしていても借り入れはしていない、またクレジットカードを持っているがキャッシングは利用していない、という場合でも、利用限度枠が設定されているだけで、ある程度のネガティブ要素として判断されてしまう、という事です。つまり「この人はいつでもキャッシングできる状況にある」と判断されてしまう為です。

現在借り入れをしていない場合などは、カードローンは解約し、クレジットカードも解約するか、キャッシング枠のみを「0」にするように契約変更するほうが無難でしょう。

キャッシングしている場合、住宅ローンの審査通過は難しい?

では、結局のところカードローンやキャッシングを利用している場合、住宅ローンの審査は通らないのでしょうか?

どんな場合に審査に落ちるのか?

ネット上の口コミなどを見ていると、中には「カードローンの残高はあったが住宅ローンの審査に通った」というケースもあるようです。確かに、住宅ローンの審査は他社借り入れ額のみで判断されるものではありませんから、よほどその他の条件が良かったり、担保価値が高かったりすると審査通過する事もあるかもしれません。

しかし、殆どの場合はカードローンやキャッシングの残債が残っている間は、住宅ローンの審査通過は難しいでしょう。

あなたが銀行の審査担当者だった場合、消費者金融から借金をしている人に、2,000~3,000万円の多額の融資を行うでしょうか?恐らく行わないと思います。銀行もそれだけの多額の融資をする訳ですから、かなり慎重に審査が行われる事は間違いありません。

また、繰り返しになりますが、残債がなくても利用枠が設定されているだけで、住宅ローンの審査に影響を及ぼします。銀行の中には、その銀行の住宅ローンを利用している契約者にだけ、特別金利を設定したカードローンを提供しているケースがあります。どうしてもカードローンを利用したい場合には、住宅ローン審査前には従来のカードローンを解約し、審査が通ってから銀行が提供しているそのようなカードローンを契約する、というのもひとつのテクニックかもしれません。

さらに、当然の事ですが、過去に債務整理の経験がある場合で、その情報が信用情報機関に登録されている状態であれば、間違いなく住宅ローンの審査には通りません。

無借金は本当に信頼される?

信用情報機関には、過去のローン契約に関する情報も勿論残っています。中には、数年前までカードローンを契約していたが、きっちり返済して完済済み、というケースもあるでしょう。銀行の中には、そのような利用履歴については逆に高評価を付ける場合もあるようです。

つまりローンを全く利用した事のない人より、過去にきちんと返済をした事がある人のほうが評価される、という事です。したがって、無借金が必ずしも「最も信用度が高い」とは言い切れません。

キャッシングの残債を処理する場合の注意点

住宅ローンの審査時には、カードローンの完済はもちろん、カードの解約も重要である事はよくわかりました。ではその残高を返済する際の注意点についてもご紹介します。

カードローン全額返済時の注意点

当たり前の話ですが、A社のカードローンを返済する為にB社から新たな借り入れを行う、などという事は論外です。全て信用情報機関への情報照会で、バレてしまいます。

さらに、カードローンを繰り上げ返済する場合、なかなか一度で完済するのは難しいでしょう。住宅の購入検討が始まってから、数ヶ月程度かけて完済する、というケースもあると思います。

この場合の注意点として、カードローンの契約によっては「臨時返済をしても、毎月の返済指定日にもう一度返済する必要がある」という事を覚えておきましょう。

例えば毎月10日が返済指定日だったとして、その手前の5日に臨時返済を行ったとします。この場合でも、再度10日になると最少返済金額の返済が求められる、という事です。つまり臨時返済時に手元にあるお金を全て返済にまわしてしまうと、返済指定日にお金がなくなってしまい、新たな延滞履歴を作ってしまうことになりますので、充分注意が必要です。

カードローンの残債を住宅ローンでまとめることは可能か

カードローンの繰上げ返済が厳しい場合、よくある質問として「住宅ローンの借り入れ金額に、カードローンの残債も含めることはできないか?」というものがあります。

確かに一見合理的に見えますが、現実的には難しいでしょう。

何故なら住宅ローンは「家を買う」という目的を果たす為だけに利用されるローンであり、それ以外の目的に利用する事は禁じられているからです。さらに、住宅ローンの残高などにより所得税などの控除を受ける事が可能ですが、ローンの残債が変わってくると控除額も変動します。つまり税金の申告についても、虚偽の申告をする事になります。

したがって、カードローンの残債が残っている場合は、自分で頑張って完済するか、恥を忍んで親・兄弟からの援助を受ける事が望ましいと言えるでしょう。

まとめ キャッシングの利用は住宅ローンの審査に影響するか

以上、今回はキャッシングが住宅ローン審査に与える影響について、詳しくご紹介してきました。もう一度ポイントを整理しておきましょう。

1,住宅ローンの審査時には、他社借り入れも必ずチェックされる。
2,他社借り入れの状況確認には、信用情報機関の登録情報が利用される。また、カードローンの利用状況はもちろん、クレジットカードの利用状況についても全て確認され、借り入れをせずに限度枠だけ設定している場合も、ネガティブ要素として判断される。
3,他社カードローンを利用していて残高がある、または過去に債務整理を行った、という情報が残っている場合、まず住宅ローンの審査通過は難しい。できればカードローンの残債については完済し、カードも解約しておいたほうが無難

以上、本日お届けした情報を参考に、まずは現在の借り入れ状況の確認・そして信用情報の確認を行ってから、住宅ローンを申し込まれることをおすすめ致します。

ABOUT ME
監修:山内 貴文
株式会社山内FP事務所代表。北海道大学経済学部卒。日本FP協会上級資格・FPSB国際認定資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格) 金融、貯蓄、ローンなど人生のお金に関わる相談になんでも乗ります。